アルスは素早く声のするところに移動した。声はある扉に近づくにつれ、より大きくなっていく。扉をあけると、その先には大勢の人がパーティをしていた。
「コラッ!君!こんな所にはいっちゃだめだぞ!」アルスは突然、後ろから怒られて驚いた。後ろに居た警備員風の男性にアルスは会場に連れ込まれて、「あの場所は従業員専用だからもう入るなよ」と言われてその場に置いて行かれた。アルスは呟く。
ラッキー、と。*アルスが上手く会場にもぐりこんだその建物の外では姫坂が周りを確認しながら入場手続きをしていた。姫坂の頭の中ではアルスの事がいっぱい浮かんでいる。あんな冷たくしなければよかった、アルスは自分を嫌いになってしまった、と後悔していた。
会場に入るとまず飛び込んできたのは沢山の料理。事件のせいでまともに食事が味わえていない姫坂の腹の虫が鳴る。
姫坂の髪は徐々に赤に染まっていく。そして完全に髪の色が赤に変わると同時に、姫坂の拳が中年男性の腹を殴りつけた。男性は唾を飛ばしてその場に倒れる。「おじさんごめんなさい。でも子供に絡むのは良くないよ」姫坂の目の色は赤に変わっていた。周囲の人間は驚き、どよめく。「もう!あの人ったら!」姫坂の後ろから声が聞こえた。後ろから現れたのは先ほど食事をくれた女性。「もう!バカな事して!恥ずかしいじゃない!」女性は中年男性を引っ張って別の部屋に消えた。辺りが沈黙に包まれる。そんな中で姫坂は何事もなかったかのように歩きだし、食器を拾ってもったいないと呟いた。そして食事を盛るために、歩いて行った。「はいどうぞ」腹の音に気付いた一人の赤いドレスを着た女性が姫坂に食事の盛られた食器を渡した。女性は、「まだ口をつけてないからね」と言い残してその場を去る。プラダメンズ姫坂はしばらく皿を持って立っていた。女性がみえなくなると、その食事を食べた。黙々と食事を食べていた姫坂は突然襟を掴まれた。突然の事に姫坂は食事を落としてしまった。「だぁれだ!こんなガキをここに連れてきたのはァ!」姫坂を持ち上げたのは一人の中年男性だった。眉間にしわを寄せて怒る中年男性に姫坂は不快感を抱き、その手を払った。払われたことにより、男性はより一層怒る。「このガキィ!」男性は拳を振り下ろした。辺り一帯がざわめく。その中で姫坂はポケットからあるものを出して食べた。姫坂はその振り下ろされた拳をガッ、と受け止めた。「おじさん、子供に手を挙げるなんてひどいと思わないの?」関連記事:
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