１２７ページ目！ヒーローとライバル！後編！
掌の中で練られていた黒の球体。その球体を抱えながら、ゲインシュタインは地面をバウンドしていきながら飛ばされていく。 ジークフリードの周囲に渦巻いていた闇の旋風は消えた。 黒の球体も萎縮し、消える。 立麻はジークフリードの前に立っていた。 白は立麻の方を向いたまま、固まっている。
しかし、その目からは大粒の涙が溢れていた。「ありがとう。白。それと、ジークフリード」 立麻はジークフリードに手を差し出した。 ジークフリードの顔を覗きながら、優しい声を掛ける。「立てるか？」 へっ、とジークフリードは笑みを溢す。 差し出された手を、しっかりと、掴む。「ったりめーだ」 そして、ゆっくりと起き上がる。背骨をやられたためか、姿勢はやや不安定な状態だ。
「来んのが遅えんだよ。ガキ」「ワリィ。国の皆を移動させてて遅れちまった」 ジークフリードは立麻と背中合わせになり、後ろから小声でこう口にした。「……あん時は悪かったな」 立麻は、静かに微笑んだ。 そして、呟く。「俺じゃなくて、白に謝れよ」 ジークフリードは白の方を向き、口を力一杯紡ぐ。
背中越しからでも感じる、ジークフリードの強い意志。立麻は、問う。「まだ動けるか？」「へっ、動けるに決まってんだろ」 ジークフリードが立麻の横に並んだ。「手前こそ、俺の足を引っ張んじゃねぇぞ」「こっちのセリフだ」 真っ直ぐな眼差しが捉える者、ゲインシュタイン。 ゲインシュタインは地から体を起き上がらせた。が、前傾姿勢になっている。
しかし、その手には、魔術の極意を持っていた。 乱れる呼吸を調えながら、口に溜った血を吐き出す。 黒い地に赤い点が付着する。「まったく……人間ごときが舐めた真似をしてくれたもんだ」 魔術の極意の頁がカーキ色に変色した。枯れ草のような色だ。 いつもの耐性防御時の光は発されずにいる。「この代償は大きいぞ」 その頁には、個人名と個人情報が記されていた。関連記事：
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