(さっさとこの戦争終わらせて、バカ息子達を助けに行かないと) エアはそんな事を考えながらまた一人、魔導具の柄で敵の腹を突き気絶させた。流石にエアが八賢者である事は知られているのか、エアを囲むようにリングサーク兵は警戒している。
それはエアにとって不都合。さっさと襲い掛かってきてくれた方が手早く済む。来ないのならば、とエアは自分から敵陣に突っ込んでいく。
魔導具を叩きつけるように振るい、ジュードと同じ属性『紫雷』の魔法で敵をなぎ倒していく。 だが、倒しても倒しても敵は減らない。前も後ろも、右も左も、時々上からも敵が来たりする。むしろさっきよりも増えているような気さえしてきた。
「あ?めんどくさい?でも本気出せない?」 殺しはしない。そう誓ったからこそ本気ではできない。エアが本気でやればそれこそ皆殺しになってしまう。そしてまた目の前の敵一団を魔法で弾き飛ばす。
「我自ら出向くとしよう」 ローブの人物はぶつぶつと言葉を呟き始め、指も同時に動かしている。詠唱魔法と方陣魔法の『複合術式』である。『『複合術式』が完成した瞬間、フードの人物の姿が掻き消えた。 そんな時、敵をバッタバッタと薙ぎ倒していたエアの前に突然空間が歪み、魔導士のような人物がその中から現れた。 突然現れた魔導士を訝しげに眺めるが、エアはリングサークの魔導士だと断定。他の敵と同じように軽くあしらってやろうと、魔導具を叩きつけるが――「おっ?」 エアの鋭い一撃は魔導士がいつの間にか出していた短杖に阻まれた。それを見たエアは楽しげに頬を緩ませ一度距離を取る。 魔導士なのに接近戦を苦にしないあの動き。エアの一撃を片手で軽々と防ぐあの力。久々にやりがいのある敵が出てきた、とエアは当初の目的を忘れて舌なめずりした。 しかしながらエアは知らない。この戦いが長引けば長引くほど、それによって生まれる負の感情がラークイスへの魔力となっている事に。GUCCI バッグ ディアマンテ そして、そんなエアと戦闘自体を岩山の影から眺めている影が一つ。長身で全身は黒いローブ姿。目深に被っているフードの下から垣間見える口元は、悪魔のような笑みで歪んでいていた。「いいぞ……もっと殺し合え、もっと憎み合え。さすれば我が望みが叶うのも早まるというもの。しかし……」 黒いローブの人物はエアに目を向ける。今まさにリングサークの兵士達を魔法で十人ほど倒しているところだった。「奴は、少々目障りだな……」 戦いを長引かせる為にはお互いの戦力を同等にしなければならない。エアの存在は両軍のバランスを大きく崩していた。関連している文章:
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