第二百五十一話 胡瓜その四
「それでいこう」「そういうことでね。さて」 ここまで話してだった。あらためてだ。 二人は木陰にゴリラと狼を連れて隠れる。そのうえで池を見守る。 暫くは何もなかった。それを見てだ。ナンシーが言う。「一時間して何もなかったら」「帰る?」「カメラ置いてね」 そのうえでだというのである。
「帰りましょう」「ビデオカメラを置いて帰るんだね」「そう、それに映っていれば御の字でね」 やはりだ。河童が実際に見られるとはだ。思っていないのだった。「それでいいわよね」「いいと思うよ。それじゃあね」「ええ、それじゃあ一時間したらね」「胡瓜を回収してそれで」「帰りましょう」「胡瓜かあ」
ジョルジュは自然とその胡瓜の話をした。「もろきゅっていいよね」「ああ、あれね」「そう、もろみをたっぷりと付けてね」 それで食べる。連合において今もある胡瓜の代表的な食べ方の一つである。「あれがいいからね」「後は野菜スティックにしてもいいし」「サラダに入れたりとか」「どれもいいからね」
「和食だけじゃないのよ」 ナンシーは笑顔で話す。「胡瓜は色々使えるのよね」「そうだね。それにしても」「それにしても?」「ナンシーって胡瓜好き?」 ジョルジュはナンシーに尋ねた。「色々な食べ方知ってるけれど」「ええ、好きよ」 実際にこうだと答えるナンシーだった。「あっさりしてるし食べやすいしね」
「それでなんだね」「だから好きなのよ。実は今も」 今の時点でだ。どうかというのだ。「あの胡瓜ねえ」「食べたい?」「ええ、食べたいわ」 池の上に撒き餌として撒かれているその胡瓜を見ての言葉だった。「実はね」「じゃあ河童が出なかったら」「ゴリラに報酬としてあげるけれど」 それは忘れない。律儀なのである。「それでもね。胡瓜はね」「食べたいんだね」「ええ。他には西瓜も好きなのよ」 それも好きだというのだ。西瓜もだ。「胡瓜と匂い似てるし」関連している文章:
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