「あぁ、すまんが先に行っててくれ。俺もすぐに行く」「ほいほい」 俺が修を置き去りにしてその場を去った後、「藍田くんおはよう!」という大勢の女子の声が聞こえた。少し振り返って様子を見てみれば、修を囲んで女子達がキャーキャー言いながらたくさんの質問を浴びせ掛けており、当の本人はそれでも鬱陶しがらずに愛想良く答えていた。修がモテる要因として、容姿だけでなくやっぱりこういう所も関係しているんだと思う。……もっとも、女子に囲まれて嬉しくない男子なんていないが。
下駄箱で上履きに履き替えてから廊下に出た俺は、女子の波に呑まれて消えてしまった親友を羨ましく思いながらトボトボと歩いていた。「くそ?下駄箱から教室までが遠い……」 距離的には近いのだが、あんなものを見せられた後では精神的に遠く感じるというものだ。 それにしても修はモテるな。あいつのお陰で、夢の国でしか存在していないと思われていたリアルハーレムがこの目で見れるんだからな。良い経験をさせてもらったよ。
ただ、やっぱり男は顔なのか? そうなのか? どっちなんだよ、コナンくん! ……ふぅ、止めよう。悲しくなるだけだ。 俺は肩を落としながら教室へと向おう――として不意に後ろから声を掛けられた。「おはよー涼くん」 おほほ、いいねその響き。これぞ青春だ。 振り返って声の主を確認した俺は、人には見せられない危険な笑顔と共に挨拶を返す。
「おほほ。おはよう、桃ちゃん」 若干桃ちゃんの顔が引き攣っているのはこの際気にしない。『加住選手の強引なドリブル! あぁーっと! 周りはドン引きー!』「うるさい! もう一人の俺!」「も、もう一人の俺……?」 しまったぁ、と可愛く口に手を当ててみるが気色悪い事に気付いてすぐに止める。
何で口に出してるんだよ俺! 修じゃないが、これじゃ俺は本当に危ない人だ。それに、横を通過して行く生徒達の視線が痛い事……。この状況を何とかしなければ。「い、いやーななな何のことかなー?」関連している文章:
Related articles:
阅读(120) | 评论(0) | 转发(0) |