74：いよいよ
２０メートル四方くらいの大きさがあるので、結構広く感じる。かつては鯉がいたであろうと思える池の跡が隅にある。
しかし、基本は細かい砂地である。☆を書こうと思えば、指でなぞればいいだけである。というわけで、おもむろに地面に☆を書く俺。
舞鶴、縁側に座ってそれを見ている。見られているとやりづらいが、庭を借りるような状態だし、今まで協力してくれたことも考えると、見るなとは言いづらい。
俺、頭はすでにディズニー○ンドのことばかり考えている……。☆の頂点に時計回りに秘宝をおいていく。
変な物語の登場人物である。……。刀を脇に置く。よし。やるか。ええと、両手を上に上げて、めいっぱい指を広げて、腹にいっぱい空気を吸い込んで。一発で決めるぞ！「巨大魔法少女ルイルイちゃん、現れよ～！」俺、腹の底から声をだしたよ。恥ずかしいけど、結構気持ちよかった。早朝に大声をだすのは近所迷惑だけれど、たまにはやってみてもいいかもしれない。叫ぶ言葉は違うものにしたいが……。俺、叫び終わってから下を向く。秘宝及び☆、何の変化もなし。ふ、ふふ、ふふふ、ふふふふふ。ほっとしたような残念なような。いや、いいんだ。これでいいんだよ。今日はディズニー○ンドに行こう。行ってここ数日あった全てのことを忘れよう。いつでも笑っているミ○キーに癒してもらおう。俺、回れ右をして舞鶴の方を見る。ちょっと肩をすくめる。だめだね、なんて感じに。それから舞鶴の方へ歩き出す。舞鶴、立ち上がって俺の方を指さす。ん？ 微妙に俺じゃないな。俺よりも少し上っぽい。そして、何か必死に訴える表情。秘宝②の小林京の涙はフィルムケースのまま。秘宝③の使用済み下着はビニールに入っている。秘宝⑤のヌード写真は封筒に入ったまま置いた。レディース時計 おそらく、何に包まれていようが関係ないと思った。結局、巨大魔法少女召還なんてできないからだ。置き終わり立ち上がる俺。屋敷の方を向いているので、縁側に座る舞鶴と目が合う。さすがに見られているのがわかるとやりづらいな……。反転して、舞鶴に背を向けるようにする。それでもやりづらいが……。仕方ない。演劇でもする感覚でやるしかないな。役者になりきって。自分自身を捨てて。俺は今は叶心じゃない。ただ単に、変な役柄を割り当てられた役者である。関連している文章：
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