そして僕は日頃のストレスを吐き出し尽くし、ようやくせいせいした。すると話は段々と男女関係に移ってきた。まず生河君が自分の妻子の話をすると、そこから塚山さんが聞いてきた。「生河さんは奥様も子供さんもいますけど、あとのお二方はどうなんですか？」「俺は一応、彼女いるっすよ。専門学校の時の同級生だから、盛永さんの娘じゃないっすが」
内藤さんが先に答えた。「昔の同級生という事は結構長いお付き合いなんですか？」「いや、最近付き合い始めたばかりっす」「内藤さん、もうやる事はやったんですか？」 生河君がズバリと聞く。意外と手厳しい男だ。「まあそれは……。付き合ってればやる事やるっすよね」 僕は内藤さんがそう答えるのを聞き、少々悔しくなった。生河君は妻子、塚山さんは課長、そして内藤さんにも彼女がいる。三人とも、心も身体も充足しているのであろう。現在、この中でそういう心境に至れていないのは僕だけだ。特に若くして小太りで、見た目的にはそれ程でもない（と僕が思っている）内藤さんにまで、彼女がいるのはショックだった。
「そういえば潮田さんはどうなんすか？」 内藤さんが尋ねてきた。「この前の旅行で塚山さんにも言ったけど、いませんよ。募集中ですね」「私もその時に言いましたが、いません……」 僕に続いて塚山さんが答えた。（嘘を吐け！課長と付き合っているんじゃないのか？）と言いたい気持ちが胸の中をくすぶっていたが、さすがに口には出せなかった。さらにあの時の様子が頭に浮かんできて、彼女の顔を直視する事も出来ない。
僕は横目でちらりと脇を見た。守田さんと江崎さんが仲良さそうに話している。その様子を見ていると、例の噂が本当に思えてきて、また悔しくなった。寂しいのは僕だけなのか？ しばらく昔の彼女の話などが続いた後、生河君は妻子が待っているからと、先に帰って行った。そして内藤さんもトイレに立った。残されたのは僕と塚山さん。不意に彼女が口を開いた。
「あの?、潮田さん、この後二人で飲みに行ったり出来ませんか？」関連している文章：
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