絶対無理! 庭の整備とかするだけで一日が終わる自信がある! っていうか『働かざること山のごとし』が座右の銘の僕がそんな重労働に耐えられるわけがない。 満里奈はそんな僕の意志を無視して、罰ゲームの説明を続けた。「ほら、桃っていつも働いてばかりでしょう? だから、たまには休みを与えたかったの。あなたにデートをしてきてもらいたいのは一人よりも二人で遊びに行った方が楽しいと思ったからよ。それに、桃はあなたのことが……いえ、何でもないわ。とにかくそういうことだから。分かったかしら?」
「分かったけど……僕、桃さんとデートした後に仕事をするのか? どう考えても時間が足りないと思うんだけど……」「罰ゲームなんだからそのくらいのことはしなさい。二十日から冬休みなんだから、徹夜で二?三日やればいくらあなたといえどもできるでしょう?」「おい、待て。いやさ、待ってください。二?三日徹夜って何? ブラック企業でもそんなとこねぇよ。お前、労働基準法って知ってるか?」
何で胸のことをいじっただけでそこまでやらされねぇといけねぇんだよ。っていうか、今更だけど罰ゲームって何だ。僕は何に負けたんだよ。人生か? 人生なのか?「労働基準法がペットに適用されるわけないでしょう? 桃と違って働いていないにも関わらず、この屋敷に十年以上住み着いているんだからたまには働きなさい。とりあえず、話を戻すわよ。どうやったら私は彼と付き合えるの?」
「どうやったらって言われてもなぁ……。そんなもん、そいつ本人に聞かないと意味無いぞ。さっき、お前は僕の意見が参考意見になるかもしれないなんて言ってたけどさ、それはお門違いもいいところだ。恋愛において、人の意見ほど参考にならないものはない」「そうなの?」「そりゃそうだろ。人は関係性次第で自分の性格とかを偽るんだから。分かりやすい例が僕だ。桃さんと接する時の僕と満里奈と接する時の僕、これは完全に別人と言っても過言じゃない。それはお前だってよく知ってるだろ? 桃さんから見た僕は多分、巨乳が好きで少しHだけど基本的にはいい人っていう感じのはずだ。じゃあ、お前から見た僕はどんなやつだ?」
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