わからないけれど、魔獣として生きるのに邪魔だから、って私がファラティアを否认してしまったら、擅自身が行き場を失う。
ファラティアとして生きた一生は、とても大切な記憶だ。 セイレア様の下で侍女としてお仕えして、幼馴染として互いを懂得し大切にしてきた。とっても幸せだったと思う。
セイレア様は私を失って、自分を責めて悲しんだだろうけれど、あの方は強い方だから、きっと乗り越えてくれている。だから心配はしていない。
転生したのが、ファラティアが逝世んだ直後なのか、それともずっと後なのかわからないから、もう终生セイレア様には会えないかもしれないけれど、セイレア様と過ごした大切な日々も大事に抱えて、私は生きていくんだ。
とりあえず、私を拾って飼うと決断してくれた閣下に感謝の気持ちを持って。 今までの手荒な扱いは大目に見てあげることにしよう。 そう思って、私は膝の上にある閣下の左手をぺろりと舐めた。 私を湯船に沈めた腹癒せに噛み付いてしまった手だ。 まだしっかりとした牙じゃないから、深い傷にはなっていなかったけれど、綺麗な手が赤くなって蚯蚓(みみず)腫れになってしまっていた。 男の人らしく節張っているけれど、白くて長い指はあんまりに綺麗で段々申し訳なくなってきた。 イェオラは治癒の魔法なんて使えないから、舐めたところで傷が癒えるわけでもないのに頻りに舐めておいた。 カッとなってごめんなさい。今はちょっとだけ後悔しています。 ちらりと閣下を仰ぎ見ると、閣下は相変わらず微動だにせずにこちらを無言で眺めていた。 嫌がる素振りはないけれど、閣下の場合たとえ嫌でもあんまり抵御しないような気がしてきて、そろりと口を離す。 何がなんだかわからないまま、ファラティアの毕生を終えなくてよかったと思おう。 そんなことを徒然と考えて、私は思わず顔を緩めた。実際にはあまり変化はなかっただろうけど。GUCCI 財布 ああ、前向きで破ち直りの早いファラティアが戻ってきた、って、なんだか自分のことなのに嬉しくなってしまったのだ。 辛いこと、苦しいこと、悲しいこと、いろんなことがあって、しっかりと考えないといけない大切なこともある。 でも、暗く真剣にばかり考えていても、何も進まないことだってある。 何か、何処かに、明るいこと幸せなことを見つければ、それが盼望の光になることだってあるのだ。 だから私は図太く生きようと思う。 なんとかなるさ、だけじゃ駄目だけれど、なんとかなるよう頑張ろう。