「彼等を」「タレーランとフーシェだな」「彼等を使いこなせていればナポレオンの失脚はありませんでした」
これはよく言われることである。ナポレオンの政権、即ち第一帝政を支えていたのは外相であるタレーランと警察相であるフーシェだった。だが有能であるが忠誠心とは全く無縁であり手段を選ぶことのないこの二人を使いこなすことはナポレオンには無理であった。もっとも彼等を使いこなせるような人物はこの時代においては誰もいなかったのであるが。英雄をもってしても二人の怪物を使いこなすことはできなかったのだ。
「政治家であればどうだったかわかりませんが」「政治家であればか」「ヒトラーであればどうだったでしょう」
ナチス=ドイツを作り上げた男だ。なおエウロパではヒトラーは英雄であるが連合では稀代の悪人となっている。これはスターリンもまた同じだ。これについてはイスラエルの存在が大きいと言われている。ユダヤ人を虐殺したのはヒトラーだけではないのである。スターリンもまた同じだったのだ。こうした意味においてもナチスとソ連、ヒトラーとスターリンは全く同じ存在であったのだ。全体主義国家であり独裁者であったのだ,関連している文章:
。虐殺を躊躇しない,関連している文章:
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「そうなのか」「それが何か」「いや」 自分でも気付かない。しかしボーデンは何かを感じていた。しかしそれを表に出すことはなかった。自分が気付いていないから当然であった。「何でもない。それならな」「そうですか」「とにかく頼む」 この言葉はすぐに出たのだった。「エウロパの為にな」「わかりました」 こうして二人の話は終わった。しかし話が終わってもそれはあくまで言葉のうえでの話が終わっただけだった。まだ話は続いていた。言葉の続きが。「あの二人を使いこなせたかも知れません」「怪物が三人か」 ボーデンはそのことにかなりいぶかしむものを感じている。Cath Kidston(キャスキッドソン)財布「ぞっとしない話だな」「軍人が政治をするにあたってはやはり限界があります」「限界があるか」「はい」 相変わらずの傲然とまでしている自信での言葉だった。「何故なら軍人はその職務があまりにも専門的であるが為に」「それはその通りだ。それではだ」「私は政治家として英雄になります」 これこそがカミュの考えであった。彼はそれを念頭に置いて英雄というものを語っているのである。ここに実に大きなものが存在していた,関連している文章:
。「そしてエウロパを救ってみせましょう」「政治家として英雄になるか」 今のカミュの言葉を聞いてボーデンの目が微妙に動いた。