第十四話 消える魔球その七
「ほらね」「うう??????」 こうなってはフランツも黙るしかなかった。
「まあいい、次だ。うおおおおおおおおおおおおおっ!」 また気合を込めて投げ込む。それもボールだった。
三球目も四球目も。結局この勝負はフォアボールとなったのであった。「よし、あたしの勝ちだな」
「くっ、何故こんな」「あんた、スピードとノビだけを考えていただろ」「ああ」 フランツはロザリーの言葉に答えた。
「終わったか」「何か凄い試合だったな」 観戦していたクラスメイト達は口々に述べる。「特にフランツがな」「あいつってやっぱり凄いんだな」 何だかんだでそのボールと気合は驚異的であった。「あれだけのボールはプロでもそうはないな」「そうだな。それはな」「頭さえよければなあ」 そんな話をしながらグラウンドを後にしていく。野球部もソフト部もそれぞれの部室へと引き揚げて帰り仕度に入った。 部室を出て校門をくぐろうとするフランツとタムタム。そこへ一人の少女が姿を現わした。「よお」「よおって御前」 見ればロザリーであった。私服に着替えてすっきりとした顔をしている。どうやらシャワーを浴びた後らしい。「一緒に帰らないか」 もう夜になっている。星空の下でそう提案してきた。「一緒にか」「三人でさ。嫌ならいいけれどよ」「いや、それは別に」 フランツはそれを断ろうとはしなかった。「俺はまあ構わないが」「タムタムはどうだい?」「俺も」 彼も断る理由はなかった。「じゃあさ。ラーメンでも食べに行く?」「だからさ。コントロールを考えていなかったからなんだ」「コントロールか」「そういうことさ。最初の一球でこりゃ振っても無駄だしまさかと思ってな」marc jacobs 時計 「勘がいいな」「ジュリア程じゃないけれどね。まあこれであたしの勝ちだね」「くっ」「それじゃあね。悪いけれど一塁に行かせてもらうよ」「この勝負、預けておいてやる」 フランツは述べた。だが目は死んではいない。「しかし!」 彼はまたしても叫ぶ。「この試合、負けはしない!後は誰にも打たせない!」「おおっ」 この気迫にはクラスメイト達も驚きであった。「行くぞ!後は絶つ!」 彼はその言葉通りにした。結果としてロザリー以後のランナーは許さずその試合は時間の関係でその回で終った。結果として引き分けに終わったのであった。関連している文章:
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