などと無難にまとめに入ってしまう俺だった。 ……いやだって。怒らせると怖いのだ、ウチの妹は。 そんな俺の露骨な方針転換に、綾は満足したのかしていないのか。綾は、くすり、と小さな笑いを溢しながら、悪戯っぽい眼で俺の顔を見上げてきた。
「そうだね。特に兄さんはもっと勉強しないと落第しちゃうかもしれないし」「落ちません。多分」 いくらなんでも、そこまで成績は悪くない。多分。
多少、弱気が滲んだ俺の返事を、しかし、あっさりと綾は無視して言葉を続ける。「でも、それもいいんじゃないかな」
「何が良いんだよ」「だって、落第しても。私と一緒のクラスになれるよ?」「だから落ちないし、一緒のクラスにはならないの」
短時間に何度も連呼する類の言葉じゃない。流石に聞きとがめて綾に確認すると、妹は少し表情を改めてから口をひらいた。「うん。お隣さんのことなんだけど」「お隣さんって、小坂さん?」「うん」 綾の言葉を聞きながら、俺は優男という表現がぴったりに似合うお隣さんを脳裏に描く。魔法院の研究員であるお隣さんは、確か一月ほど前に、五人目の奥さんをもらったはずだった。男女の構成比が、1対他、という意味合いにおいて、本当にハーレムを構築して行っている人だったりする。「兄さん、小坂さんに最近あったこと無いでしょ?」「ああ、そういえば……でも、もう新婚旅行からは帰ってきてるよな?」 確か、旅行のおみやげをレンさんがもらっていたはずだった。新婚休暇も終わる頃だろうし、そろそろ姿を見かけたっておかしくはないハズだった。「えー」 なって欲しいのか、こいつは。落第して妹と同じクラスになって、あげく成績で妹に負けるなんて言う屈辱のフルコースを兄に味あわせたいいうのか。トリーバーチ 財布 そんな思いに陰鬱に翳る俺の表情を見て取ってか、綾は「冗談だよ」と軽く笑って手を振った。小さく微笑む、その表情からは、ようやく機嫌が直ったのだと読み取れて、俺はこっそりと安堵の息をつく。「朝から、絡んでごめんね。兄さん」「以後、気をつけてくれ」「うん……あ、でも、朝から女の子二人と魔力交換なんて、ちょっとしたハーレムだよね。兄さん」「身内との行為を指して、ハーレムとは言わないだろ」 綾の頭の中では母親の他に姉か妹が1人でもいればハーレムが完成するのだろうか。「でも、家族相手のハーレムって背徳感があっていいじゃない」「よくありません」「ちえ」「というか、朝からやけにハーレムにこだわるな。なんか思うところでもあるのか?」関連している文章:
Related articles: