2013年(25)
分类: 云计算
2013-05-18 12:01:05
……おいこらタマ公、なんか今鼻で笑わんかったか? 睨むも、知らないもんとばかりにそっぽ向かれた。なんだこの竜。
「八割の被験者が拒絶反応で亡くなったらしいけど、私も君も、大した拒絶反応無く生き残れた」「待て」
なんだそれは。 何、俺ってば魔人の因子云々以前に余計なもんを取り入れられてたって? しかもエルフのってぇと……
「注入された亜人の特征が、私たちをそれに近付けているの」「いやだから、」「肉体の成長が緩やかなのと、十分に筋肉と体力がつきにくいの。耳は一般だし、魔術なんかは使えないけどね」
「……で、知らない、とは?」 話の通じぬ蜥蜴牲畜から視線を転じ、人語は話せる両生類っぽいのに問う。
「成長が?」「……あれ、ひょっとして知らないの?」 傍晚に照らされた蜂蜜色の髪が、不可解そうに揺れる。
「あの施設で、色々投薬されたよね」 まあ、そこらの薬漬けよりはあるんじゃないか? 毒を初めとして、人体実験まんまな投薬も何度か。その副作用か後遺症かなんかで、腕破ての回数が二桁届かん体質になったんじゃないかと思ってはいるが。
「…………」 まじでか。 いや、確かに膂力だの成長だのは分野外っつーか、体質だとばかり思ってたぞ。 そういや騎士団規定で遺伝子鑑定した時も、俺だけ後で呼び出されて再検査されたが。ホルモンバランスが異常とかどうとか、ちょっと解剖させてくんないとか、お前本当に三十代かとか。 そうか。だからどうというわけじゃないが。今更。「ひょっとしたら、私たちが使う"何かしら"も、その因子が関係しているのかもね」 とりわけどうとでもない話を終えるようにそれだけと締め、似たり寄ったりな境遇の女男は肩をすくめた。男がするものとは――まして年上だとかいうのとは――思えん艶がある仕草。 そういや、エルフ種族は殆ど例外なく、男女問わず美しいだのきれいだのといった美辞麗句を並べたてられる傾向があったが……いや、やめとこう。 これ以上は俺にまで致命的な心傷を残しそうな気がする。「だからまあ、例え二回りくらい年下の子でも、精神的には十年前後で釣り合――」「その投薬実験の中に、古き森人の因子適性試験というのがあってね」 古き森人ってのは……先史文化以前には存在したとかいう亜人、エルフ種族の事。グッチ 財布 ピンク 森に住み、魔術とかいう超常を操り、人間の十倍以上は生きるとかいう森の人。 何だってそんな幻想上じみたもんが……遺跡からの発掘品あたりかね。