綾ちゃんとは、我が家のある森の手前で別れた。そして、独りになるとますます気分が悪くなってくる。わたしは、そういうのが顔に出やすいみたいで、家のリビングでテレビを見ながら、わたしの帰りを今か今かと待ちわびていた、ヴェステンにあっさりと、「どうしたの? なんだか顔色が優れないね」 と見抜かれてしまった。わたしはやや誤魔化すように笑う,関連している文章:
http://myantiquesonline.com/index.php?p=blogs/viewstory/541237。
「べつに、ちょっと疲れただけ。戦いに試験のダブルブッキングだったから。そういえばイルリヒトは? あれから、ちゃんと喧嘩しないで家に帰れたの,関連している文章:
?」「もちろんだよ。ぼくはオトナだからね。あいつの挑発になんか乗らないよ」 と、ヴェステンは可愛い男の子の声で言う。やや、その言葉に信憑性がないことは請け合いだけど。
「今は、地下室にいる。リビングにカンテラごと置いておいたら、きっとお父さん、びっくりしてしまうから、地下室に押し込んでおいたんだ。ぼくはこの通り、猫のフリをすればいいけど。にゃー」「そうだね。イルリヒトには悪いけど、お父さんのために地下室に居てもらおう。あとで、なにか美味しい物でも作ってあげよう……イルリヒトってご飯食べるのかな?」
「さあ? どうだろ」 ヴェステンが苦笑するのを横目に、わたしは鞄をソファに置き、制服のリボンを外す。なんだか、ホントに一日がぎゅぎゅっと凝縮されすぎだった気がする。ソファに身を沈めると、全身に疲れがどっとのしかかってくるみたいな間隔を味わった。「ねえ、ヴェステン? 『器』って何なんだろう」
わたしは天井を見上げながら問いかけた。ヴェステンはテレビ画面から視線を動かさず、「何、突然」とわたしに言った。夕方再放送の時代劇は終わり、今はニュースの時間。いつもどおり、事件や芸能、スポーツの話題が、右から左へと流れていく。「ザントがわたしに言ったの、器の少女って。『器』って一体何?」 もう一度尋ねると、ヴェステンはリモコンに手を伸ばして、テレビのスイッチを切った,関連している文章:
。部屋の中が、静かになる。
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