第十四話
剣を鍛造してもらうこととなってから明日で約束の日だ。既に時刻は夜半であり、夕食も風呂も済ませている。
剣の出来上がるこの1週間、残念ながら武器の無い身でダンジョンに行くほど無謀ではない為、殆どをリブルーラの探索や図書館で過ごす事となった。
一方エヴリーヌはというと、実は昼間は2日毎に募集のあったパーティーへと参加している。 リーゼロッテとも1度同じパーティーとなったらしく、宿屋に帰宅したエヴリーヌがその日のダンジョンでの出来事をアリーシャに語ってくれた。
やはりと言うか、どのパーティーも基本は4名以上で行動していたらしく、アリーシャ達のように少人数なのは非常に珍しいらしい。
どちらにせよ、この先も似たような事はあるかもしれないと、やや気は進まないがととある方法を選ぶ。「出会ったばかりのエヴリーヌに話すべきか、そう悩んでいたのだが、私は少し記憶が欠落しているらしい。何時からそうなのかも憶えていないから曖昧な表現だが、所々常識なども一緒に忘れてしまったようだ。本当はどこの出身なのかもあやふやだ。ただ……とても遠い場所だと言うのは覚えている。欠落した知識と記憶、その1つが人種についてだ。おかげで私自身の種族まで憶えていない」「……ごめんなさい」 どうやら不躾な質問をしてしまったと思ったのだろう、その眉が下がり申し訳無さそうな表情を形作っている。 口を吐いて出た言葉も同様の感情に溢れていた。 悪く言えば無謀とも言えるのだが、根本的な戦闘経験の差がその無謀と言う穴を埋めてしまっている。フェンディ 財布「……それは?」 小さなテーブルに備えられた木製の簡素な作りの椅子、そこに腰掛け1冊の本に目を通していたらベッドに寝転がっていたエヴリーヌが暇なのか、正面に回り込み本の題名に目を移す。 その瞳に移った文字は“様々な人型種族とその特徴”と、この世界の住人であれば大概は知っているような、基本的な書物の題名が書かれている。 アリーシャがここらの出身ではないのはエヴリーヌも知っていたが、それでもそんな書物を読まなければいけない程知識が欠けているのかと、常の雰囲気や言動から到底知識不足とは思えず思わず上目遣いで訊ねてしまう。「見ての通り、この世界に居る様々な知恵持つ人型種族についての本だ」「……どうしてそれを?」 やはり誤魔化させてはくれないらしい。それとも遠回し的過ぎてエヴリーヌには伝わらなかったのか。関連している文章:
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