ブレインは楽しげに下を眺める。 無数の死体に無数の死体が山のように折り重なっていた。腐乱死体が、溺死体が、白骨死体が、轢死体が、時折蠢きながら山を転げ落ち、また新たな山を作る。そんな地獄の光景が広がっていた。
こここそ、低位のアンデッドが生み出される場所だ。現在は生まれていないようだが、侵入者によって数が減らされた場合、新たな弱いアンデッドはここで偽りの生を与えられることとなっている。
ブレインはそのまま下を眺めながら通路を歩き、死者の井戸を横切る。そのまま道なりに進み、十字路を右に曲がった突き当りの扉。そこがブレインの目的地だ。
今までの一枚の石でできた重くかつ無骨な扉とは違い、同じような石では出来ているものの、しっかりとした装飾が施された扉だ。
ヴァンパイアが扉を閉める。 ブレインは自らの最高の主人より与えられた命令に歓喜し、この扉は決して誰も通さないと硬く決心する。この扉を死守したら、もしかしたら褒めてもらえるのではという微かな欲望を抱いて。 ブレインは扉の前で不動の姿勢をとり続ける。 ほんの30分ぐらいだろうか。 突如、ブレインの目の前の空間が揺らいだ。「むっ!」 腰に手を走らせ、僅かに腰をかがめる。右半身を僅かに前に出し、いつでも切りかかれる姿勢だ。 揺らいだ空間は瞬時に元へと戻る。だが、先ほどはいなかった人物がそこには立っていた。 両肩に鞭を巻きつけ、動きやすそうな服装。 ノックを繰り返す。 やがて重い音を立てながら扉が開いた。 そこから顔を覗かせたのはヴァンパイアの1人だ。ブレインにとっては知らない顔だが、この部屋にいる以上はシャルティアの側女だというのは知っている。立場的にはブレインと同格かもしくは高い。gucci バック「シャルティア様に命じられた巡回終わりました。お取次ぎください」「……シャルティア様は現在湯浴みの最中です」 ほとんど無表情のような、見下すような目で冷たくヴァンパイアは答える。「お取次ぎは……」 ブレインは馬鹿かと自答する。 ヴァンパイアの視線がより一層冷たくなった気がする。いや、事実冷たくなったのだろう。「……シャルティア様からは貴方が戻ってきたら、ここで門番として誰も入れないよう守れと伝えるように、とお言葉を承っています」「はっ! 分かりました、この命が――この体が動く限りは通しません」「……ではよろしくお願いします」関連している文章:
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