「ど、どういうことですか？」「んとな、セント、この国が閉鎖的になってきているのは知っているよな？」
「は、はい。ここ半年前に突然ですよね？」その言葉にアーサーは深く頷いた。実際、ラドヴィスと隣国との関係が悪化したのは昔からではなく、ほんの数ヶ月前からのことだ。
国境の街では、何人かの商人が出入国を断られたという話も彼らの耳に届いている。「ああ。王の命令に臣下達も疑問に思った。そして、その内の何人かが何か裏がないか調べ始めたのだ」
「そんなことやって大丈夫なんですか？」セントは首を傾げながら聞いた。「勿論、そんなことがばれたら逆臣の汚名を着ることになるからな。極秘でだ」
魔方陣には幾つか種類がある。今回の場合、それが原因ならばその魔方陣は他人に作用するものとなる。このように他人に何らかの作用をするものは、陣を描いてそれに魔力を注ぐことで、それが周りに作用するような形になる。魔力が残っている状態で無闇に陣をいじってしまうと、最悪の場合陣の魔力が暴走することもある。魔力が暴走を起こした場合、その魔力の性質に従うことがほとんどだ。例えば、火の性質をもっていたのならば、独りでに燃え上がったりする。だが規模が相当な大きさになり、更に性質も個人によって異なるために、実際のところ起きてみなければどうなるかは分からない。その為に先に魔方陣の魔力を無くさなければ、停止させることは出来ないのだ。「一応、停止の操作は私がやるが、セントには万一の時の人払いを頼みたい」人払いという言葉に、若干の違和感を感じつつセントは、呆れるように溜め息をついた。「……わざわざ遠回しに言わなくていいですよ。普通に言ってください」彼も納得したのを見て、アーサーは話を進めた。「とにかく、どう調べあげたのかは分からないが、城の近くの地下に魔方陣が在ることが分かった」sh-01e vivienne westwood「そしてそれが原因ではないか、ってことですか？」「お前は理解が速くて助かるな。説明する側も楽だよ」依頼内容を聞いていれば、何となく分かることだとセントは思ったが、それを指摘するよりも気になることがある。「確証はあるんですか？」「ある……とは言い切れない。だが、これ以外に原因となるような不自然なところが全くないらしい」「そうなんですか」「それに、魔方陣の停止は素人では出来ないから、むやみに城の術師にも頼むこともできずに悩んだ結果、この組合に白羽の矢が立ったということだ」関連している文章：
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